From New and Complete Dictionary of Arts and Sciences, Thomas Jefferys, 1754
地球規模課題シリーズでは、紛争解決・環境汚染など国境を越えた地球規模の諸問題について、皆様と一緒に考えていきます。各回のテーマは、国連大学出版部より刊行もしくは刊行予定の図書(英語)から選びますが、講座は全て日本語で行われます。
本講座ではメインスピーカーに本の著者や編者を、そして同分野の有識者をコメンテーターとしてお招きします。メインスピーカーより本の内容紹介に加え、テーマに沿った関連グローバル・イシューの研究報告をしていただきます。その後、コメンテーターがテーマを異なる視点から分析し、参加者からの質疑応答を通じて皆様と一緒に議論を深めます。本講座は一般市民、とりわけ学界、産業界、市民社会グループを含めた幅広い方々を対象としています。
講座の後にはスピーカー・コメンテーターの方と自由に歓談していただく場を設けるなど、相互に学びあう知的交流の場がありますので、ふるってご参加ください。
Seminar XII · 2011.01.27, 15:00–17:00
グローバリゼーションの負の側面
スピーカー: ラメシュ・タクール 現在ウォータールー大学教授、近日中にオーストラリア国立大学 (Asia-Pacific College of Diplomacy) 教授就任予定
コメンテーター: 長谷川祐弘 法政大学教授
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グローバリゼーションは正と負の側面を持ち合わせている。そのため繁栄と発展をもたらす手段として受け入れられる一方で、世界の市場で企業が暴利をむさぼる帝国主義的なグローバリゼーションとして拒絶されることもある。また正の側面として何百万に及ぶ人々を貧困から救い尊厳のある生活へと導くこともあれば、負の側面として多国籍テロリズム、薬物密輸、人身売買、組織犯罪、マネー・ローンダリングや世界規模の流行病の蔓延を助長することもある。
今回のセミナーでは『The Dark Side of Globalization』(国連大学出版部刊)の編集者であるラメシュ・タクール氏が、西アフリカの武器密売、南アジアの武装蜂起、ジハードの活発化など、グローバリゼーションが国際システムにもたらす負の側面を指摘します。このような非市民社会がグローバル化を契機にどのように意思を主張するのか、また反対に政府、国際機関および市民社会はこのような問題にどのように対処していくのかを論じていきます。
また法政大学教授である長谷川祐弘氏をお招きし、講演後にコメントをいただき、最後に質疑応答の時間を設けております。セミナー終了後に懇談会を予定しております。
The Dark Side of Globalization
Edited by Jorge Heine and Ramesh Thakur
本講座へのご参加を希望される方は、お名前、所属先、役職名、連絡先を沿えて事務局までお申し込みください。申し込みは2011年1月26日に締め切らせていただきます。なお国連大学には駐車場がありませんのでご了承ください。
Seminar XI · 2010.05.21, 16:00–18:00
既存の平和構築概念に関する新たな考察:人間の安全保障の視点より
紛争影響国において、紛争の再発や拡大を防ぎ持続的平和を実現しようとする平和構築のあり方をめぐり近年盛んに議論が行われています。その議論の中心は平和構築におけるトップダウンのアプローチ、制度主義的な民主主義の促進、市場の経済改革、「平和」構築の推進力として「近代」国家に連なる諸制度を用いることなど、平和構築の本質とその影響に関連したものです。
今回のセミナーでは『New Perspectives on Liberal Peacebuilding』(国連大学出版部刊) の編集者であるエドワード・ニューマン氏が平和構築に関して今日のアプローチの問題点を指摘し、厚生経済、人間開発、および市民参加の必要性を説きます。さらにニューマン氏は人間の安全保障のアプローチを用い、現在の平和構築の諸問題の改善を試みます。
また法政大学教授である長谷川祐弘氏、上智大学教授のソルポン・ポー氏をお招きし、講演後にコメントをいただき、最後に質疑応答の時間を設けております。終了後、コーヒー、紅茶をご用意した懇談会を予定しております。
New Perspectives on Liberal Peacebuilding
Edited by Edward Newman, Roland Paris and Oliver P. Richmond
本講座へのご参加を希望される方は、お名前、所属先、役職名、連絡先を添えて、事務局までお申し込みください。
Seminar X · 2010.03.04, 16:00–18:00
国連のアカウンタビリテイーの強化:地球市民社会の役割
現在、世界は様々な地球規模の課題に直面しており、それらの問題を解決するためにグローバル・ガバナンスが、ますます重要となっています。そうした中、国連の果たすべき役割についての期待感も高まっています。しかし国連がそのような期待に応え得るには、国連自身が効率的かつ効果的な存在(行為主体)となることが必要条件であり、そのための国連(諸機関)のアカウンタビリテイーの強化が、国連改革の一環として注目されるに至っています。
今回のセミナーでは国連大学客員教授で、国連大学出版『Envisioning Reform: Enhancing UN Accountability in the Twenty-first Century』の編集者の久山純弘氏が講師を務めます。久山氏は、国連のアカウンタビリテイーの強化と、とりわけ地球市民社会の役割について議論を試みます。
また池上清子氏(国連人口基金東京事務所長)と功刀達朗氏(国連大学高等研究所客員教授)をお招きし、講演後にコメントをいただき、最後に質疑応答の時間を設けております。終了後、コーヒー、紅茶をご用意した懇談会を予定しております。
Envisioning Reform: Enhancing UN Accountability in the 21st Century
Edited by Sumihiro Kuyama and Michael Fowler
Seminar IX · 2010.01.28, 15:00–17:00
人間の安全保障
1994年の『人間開発報告書』において「脅威からの自由、貧困からの自由」を柱とする「人間の安全保障」の概念が初めて登場し、2000年の国連ミレニアム・サミットにおいて、その重要性が再認識されました。2003年に人間の安全保障委員会によって作成された報告書『人間の安全保障』では、新たに「価値あるものとされる生活を追う自由」の重要性が提起されています。この自由は、安全保障のために個人が果たす役割を強調し、単なる政策の受益者という立場から人間を解放します。政策を適用する際に、個別の文脈に精通している人々が重要な役割を果たす必要があるのです。
今回のセミナーでは『Human Insecurity in East Asia』(国連大学出版部刊) の編集者である慶応大学教授の梅垣理郎氏が講師を務めます。梅垣氏は人間の安全保障において個人が果たす役割、それに関連して人間は自らの生活の安全を向上する決定を下す立場にあるのかどうかという問題について議論を試みます。
また国連大学客員教授及び法政大学教授、前東ティモール国連事務総長特別代表である長谷川祐弘氏をお招きし、講演後にコメントをいただく予定となっています。
Human Insecurity in East Asia
Edited by Michio Umegaki, Lynn Thiesmeyer, and Atsushi Watabe
Seminar VIII · 2009.06.30, 15:00–17:30
長期化する難民状況
スピーカー: エドワード・ニューマン バーミンガム大学上級講師
滝澤三郎 東洋英和女学院大学国際社会学部教授 国際連合大学客員教授
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)前駐日代表
コメンテーター: 伊藤和子 弁護士 ヒューマンライツ・ナウ事務局長
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世界各地で発生する難民のうち3分の2を超える人々は長期化する難民生活から抜け出せずにいます。治安の不安定な難民キャンプや都市部で生活する難民の数は世界で数百万に上り、その大半は長年の亡命生活を現在も続けています。こうした状況は、国際的な難民保護体制や国際社会にとってますます大きな課題となっています。
本講座では、長期化する難民状況に関するプロジェクトの結果を、『Protracted Refugee Situations: Political, Human Rights and Security Implications』(国連大学出版部刊)の共編者であるエドワード・ニューマン氏にご紹介いただき、長引く避難状況が政治・社会・安全保障に与える影響についてご講演いただきます。滝澤三郎氏には、UNHCR駐日事務所が実施した「インドシナ難民に関する研究」の結果をご紹介いただきます。同研究は、過去30年の間に日本に定住した約1万1000人のインドシナ難民(ベトナム人、カンボジア人、ラオス人)の日本での統合プロセスに焦点を当て、難民の定住が日本社会に与える影響も考察しています。その上で、滝澤氏には、難民申請者の急増の中で注目すべき進展の見られる日本の難民政策、特に来年度から試験的導入が決定されている「第三国定住制度」の評価と今後の課題についてお話いただきます。
講演の後には、弁護士でヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏からコメントをいただく予定となっています。
Protracted Refugee Situations: Political, Human Rights and Security Implications
Edited by Gil Loescher, James Milner, Edward Newman and Gary Troeller
Seminar VII · 2009.01.30, 18:00–20:00
食糧安全保障の管理と貿易の自由
Food Security Control and Freedom of Trade
スピーカー: 松下満雄 東京大学名誉教授、弁護士(長島・大野・常松法律事務所顧問)
コメンテーター: 飯野文 日本大学商学部専任講師、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部元専門調査員(WTO紛争処理)
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生命や健康を損なうおそれのある物質の輸入禁止措置等、食の安全を守るための輸入規制を各国政府が行っているが、世界貿易機関(WTO)は「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」において国際貿易の自由、無差別原則、内国民待遇原則を掲げています。また、WTOの「衛生と植物防疫のための措置に関する協定(SPS協定)」や「貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)」といった国際協定は、生命や健康の保護を目的とした国家規制について、加盟国に対し、過剰な貿易制限につながる法規制を行わないよう求めています。
本講座では、食の安全を守るための国内規制と国際規律の関係について、WTOの紛争処理レポートを参照しながら、東京大学名誉教授の松下満雄氏にご講演いただきます。
コメンテーターには日本大学商学部専任講師の飯野文氏をお迎えします。
The WTO and Global Governance: Future Directions
Edited by Gary P. Sampson
Seminar VI · 2008年11月27日 16:15–18:45
持続可能な開発に向けたビジネスと市民社会の相互作用
Business-Society Interaction towards Sustainable Development
持続可能な開発のガバナンスが効果的かつ合理的なものであるためには、多様な関係者の参加が求められます。ビジネス界がロビー活動によって持続可能な開発のガバナンスに影響を及ぼす巨大な力を行使しうることを考えれば、確実かつ効果的に他の部門と協力し合う方法を構想することがビジネス界の課題となります。この意味で重要なのは、ビジネスリーダーと市民社会の活動家が協力し、企業の社会責任についての国際的に受け入れられる基準を満たすことができるように政策環境を創出することです。
今回の公開講座では、筑波大学名誉教授の碓氷尊氏に、持続可能な開発のガバナンスプロセスにおいて、ビジネス界と市民社会とのより合理的な関係を構築するために乗り越えなければならない主な障害について検証していただきます。コメンテーターにはアムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠氏をお迎えします。
The Politics of Participation in Sustainable Development Governance
Edited by Jessica F. Green and W. Bradnee Chambers
Seminar V · 2008年6月20日(金)16:15–18:45
国際環境条約間のインターリンケージと効果的な実施
Interlinkages and the Effectiveness of Multilateral Environmental Agreements
近年、環境問題の範囲や規模、複雑性に適切に取り組むための制度的対応が不十分であることが、地球環境悪化の主な原因であるという認識が高まりつつあります。特に、国際環境条約(MEA)間や、生態系と社会システムの相関をより深く考慮した政策や法律間における調整と相乗効果が十分でないことに批判が集中しています。
国連大学公開講座―地球規模課題シリーズの第5回目となる今回は、ブラドニー チェインバース氏をスピーカーに迎え、地球環境における知識と政策立案の格差について模索し、国際環境法へのアプローチ方法に関する理解を促すことを目指しています。その中でチェインバース氏は、MEA間の協力に関する仮説について考察し、MEAの有効性を測定する枠組みを示すとともに、相関の強化を通してMEAの効果をどのように高められるかを説明します。小川晃範、国連大学シニアフェローが本講座のコメンテーターを務めます。
Interlinkages and the Effectiveness of Multilateral Environmental Agreements
W. Bradnee Chambers
Seminar IV · 008年5月16日(金)16:15–18:45
都市の持続可能性
Sustainable Cities
近年、途上国は急速に都市化しており、世界人口の大部分が都市に住むようになるのはそう遠くない未来です。これらの都市が持続可能な形で発展していくことは他国にとっても重要で、世界で最も都市化した国、日本はその開発経験から持続可能な都市計画づくりに大切な教訓を提供することができます。
第4回講座では、東京経済大学の柴田徳衛名誉教授が東京の都市化について考察します。ご自身が東京都企画調整局長として取り組んだゴミ処理場をめぐる行政管理の話を軸に、過去、現在の都市づくりについて講演します。続いて、首都大学東京都市環境学部の玉川英則教授が日本の視点に基づいた持続可能な都市開発についてコメントします。
都市化がもたらす問題について、一緒に考えてみませんか?ふるってご参加下さい。
Sustainable Cities: Japanese Perspectives on Physical and Social Structures
Edited by Hidenori Tamagawa
Seminar III · 2008年4月18日(金)16:15–18:45
アジアの気候変動政策
Climate Change in Asia
スピーカー: 亀山康子、国立環境研究所 地球環境研究センター 主任研究員
コメンテーター: 鮎川ゆりか、WWFジャパン 自然保護室 気候変動グループ長
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近年、京都議定書の第1約束期間(2008年~2012年)終了後を見越して、将来の気候変動レジームについての国際的議論が高まってきています。アジアの国々は、その高い人口密度、増大する温室効果ガス排出量、急成長する経済、気候変動の影響への脆弱性を考えると、この気候変動レジームに大きく左右されます。しかしながら、能力の限界が多くのアジア諸国の国際的議論への参加を阻んできました。
第3回「国連大学公開講座~地球規模課題シリーズ」では、独立行政法人国立環境研究所地球環境センター主任研究員の亀山康子氏が気候変動問題の制度的枠組みについて考察し、アジアの視点から気候変動と持続可能な経済成長の関係性について考えます。コメンテーターにには財団法人世界自然保護基金ジャパン気候変動特別顧問の鮎川ゆりか氏をお迎えします。
日本でも季節外れの暑さ、洪水、暴風雨など日々の生活から感じるようになった温暖化問題を一緒に考えてみませんか?
Climate Change in Asia: Perspectives on the Future Climate Regime
Edited by Yasuko Kameyama, Agus P. Sari, Moekti H. Soejahmoen and Norichika Kanie
Seminar II · 2008年3月21日(金)16:30–18:45
水の安全保障
International Water Security
水は誰にとっても欠かせない、代替品のない資源です。また他の物資のように容易に移動させられるものでもありません。国連食糧農業機関(FAO)によれば、2025年までに世界人口の3分の2が水不足の危機に陥ると言われています。「21世紀中には『水戦争』が勃発するかもしれない」と有識者たちの間で懸念の声もきかれています。水に関わる問題解決には、工学、農学、社会科学など多岐の分野を融合したアプローチが必要とされており、また水をめぐる争いを回避するためにも政策レベルでの介入も欠かせません。
第2回「国連大学公開講座~地球規模課題シリーズ」では、こうした水問題を取り上げます。東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の中山幹康氏が21世紀の水資源をめぐる問題とその解決策について検証し、東京大学名誉教授の高橋裕氏がコメントします。ふるってご参加ください。
International Water Security: Domestic Threats and Opportunities
Edited by Nevelina I. Pachova, Mikiyasu Nakayama and Libor Jansky
Seminar I · 2008年2月22日(金), 16:30–18:45
平和構築の死角
Unintended Consequences of Peacekeeping Operations
初回となる22日の講座では、平和構築について考えます。2007年5月に刊行されたUnintended Consequences of Peacekeeping Operationsでは、世界の平和活動には意図せぬ結果が生じることがあると論じています。平和活動(軍・文民双方を含む)の派遣によって引き起こされる予測不能な影響について、正および負の側面から考えていきます。講師は編者の一人である。講師は編者の一人である青山学院大学准教授の青井千由紀氏、コメンテーターは朝日新聞論説委員の脇阪紀行です。平和構築の死角について一緒に考えてみませんか?
Unintended Consequences of Peacekeeping Operations
Edited by Chiyuki Aoi, Cedric de Coning and Ramesh Thakur
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Page last modified 2019.04.16.