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ゼロエミッションフォーラムについて
“環境の質の保全と持続可能な開発を同時に達成するために、資源利用の最適化と廃棄物の最小化を促進する必要性があり、そのためには生産の効率化と消費形態の変化が求められる。これらの変化は多くの例に見られるように、産業界において発展し、他の場所で模倣されてきたこれまでの生産および消費形態の方向転換を必要とする。” アジェンダ21、4章15項 (1992) 1994年、国連大学(UNU)は新しいタイプの産業システム創造の必要性から、あらゆる種類のアプローチと技術的な前進のためにリサーチイニシアティブに着手した。この構想の中心となっているのは共生の流れに沿った、産業クラスター間の廃棄物相互利用による資源の完全活用である。ゼロエミッションという言葉は資源の最大活用への絶え間ない進歩と、廃棄物の排出削減という考えを意味する。そのコンセプトは、価値付けをされた廃棄物質が経済と環境に二重の利益をもたらすことが実現できるという将来に楽観的な展望をもたらすものである。 1994年から1999年まで国連大学ゼロエミッションはバイオマスを基本とした加工処理を主に、産業界における技術的な解決策のリサーチに焦点をあてた。このリサーチの成果としてはバイオリファイナリーという概念の発達がある。これは植物性物質から得られる資源をプラスティックや有機ベースの製品へ投入するものである。 ゼロエミッションの概念は1995年から1998年の間に毎年行われたゼロエミッション国際会議などのイベントなどによって産業界、政府や市民団体へと浸透していった。その結果、特に日本において多数の企業や関係省庁、地方自治体および学界などによって環境事業の発展のためにゼロエミッションの参加が受け入れられた。 1999年以降、国連大学は国連大学ゼロエミッションフォーラムという新しい組織を編成し、ゼロエミッション関連の活動を促進していくことを決定した。このフォーラムは現在、国際的に組織され、日本においては企業、地方自治体、学界やNPOからの代表者ら約150名ほどの会員を擁する。 ゼロエミッションは排出をあたりまえとする産業モデルからの転換を意味する。フォーラムでは生産的移行を呼びかけ、産業界が自然における循環型の持続可能なサイクルに習いつつ、社会が地球に強いている負荷を最小限にし、地球の生み出した資源をいかによりよく生かしていくかということを学ぶ。 ゼロエミッションのコンセプトには製品生産もしくは他の産業の加工過程において、価値ある投入資源として変換された廃棄物などのすべての投入が含まれる。これにより各産業は、それぞれの廃棄物や副産物が他の需要に見合うがゆえに排出ゼロを実現しうる完全な組み合わせをもったクラスター(集合体)として再編成することができる。 ゼロエミッションのコンセプトは、環境に対する廃棄物の削減という観点からいえば、地域、国および世界規模でエコシステムを脅かしているこの問題の解決策として最良の方法である。さらに、再生可能な資源利用への移行とともに天然資源の完全活用は、地球上の天然資源の使用量が持続可能なレベルまで戻る可能性を示唆している。 企業にとってゼロエミッションとはさらなる競争力と、弛まざる効率化への躍進を意味している。より少ないものからより多く生産するために、資本と労働の生産性に加えて、現在は天然資源の生産性が問われている。したがってゼロエミッションは効率性と統合化の新しいスタンダードといえる。 歴史的な観点からいえば、産業公害源からの排出削減と、そのコントロールの発達には次の段階がある。 エンド・オヴ・パイプ 〜 廃棄物処理に対する公害コントロール技術の使用 クリーナープロダクション 〜 製造の初期段階でのより少ない排出を実現するための加工過程の再考 ゼロエミッション 〜 加工過程における廃棄物及び副産物の、他過程での再利用もしくは変換 生産と消費は非常に密接な関係にあることから、ゼロエミッションの実現には産業活動が行われる社会システムについてのより大きな考察が必要とされる。具体的には、都市計画や地域計画、消費パターン、エネルギー節約、生産段階での産業クラスター化、リサイクルと再利用などの活動においてそれぞれの地域との企業との相互連携が求められる。 注)「ゼロエミッション」という用語について ここでいうゼロエミッションにおいて前提となるのは、単一のプロセス上における、完全なるゼロエミッションは不可能ということである。例えば化学反応においては100%の収率というのはありえず、また、多少の無駄な排熱が伴うことは避けがたい。したがって、UNU/ZEFでは製造過程における排出がまったくゼロになると断言していない。ゼロエミッションの意味には2つの解釈の仕方がある。ひとつは、仮に現在のプロセスにおいて排出が避けられない状況でも、発生する廃棄物の有効活用は大きく見てゼロエミッションに有効につながり、環境に対して多大な負荷を与えることにはならないということになる。またこの用語は理想とされるゴールに向けての絶え間ない向上のプロセスを意味し、たとえばゼロディフェクトやゼロインベントリーといったマネジメント・スタンダードおいて成功を収めているアプローチに関連している。 国連大学ゼロエミッションフォーラム(UNU/ZEF)の活動の主な3つの目的は以下の通りである: (a) リサーチ ゼロエミッションの実現には、統合された産業システムの分析や計画のための新しい方法、再利用可能な生産品や工程間のインターフェースとなる技術開発が必要とされている。学界ネットワークと産業界ネットワークはこういった新技術や新しいメソッドの開発と実行に関して非常に積極的に活動している。1999年からは2つの新しいアプローチがとられている:
(リサーチ成果の一部分は「出版物」のページで見ることが可能。)
(b) セクター内での共同研究 ZEFはゼロエミッションを実現するために産業界、学界、および中央官庁、自治体による共同プロジェクトを推進することを目的としている。川崎エコ工業団地や北九州エコタウンはこういったプロジェクトの先駆的な例である。ZEFはさらに社会の異なったセクター間でともに活動できるようなフォーラムをつくりながらこういったプロジェクトを促進している。 (c) 情報交換 ZEFはゼロエミッションの優秀な実践例について、現在この分野で活躍している、もしくはこれから取り入れていく者どうしの情報交換の基盤を提供している他、まだこのコンセプトを知らない人々への普及の場ともなっている。これらは会議やシンポジウム、講演や研究会などのイベント、また出版や電子配信を通して行われている。 1975年以来東京に本部を置く国連大学は世界中から学者を一同に集め、今日の切迫したグローバルな問題群に、多岐にわたる学際的なリサーチや高等教育、民間への伝播などを通じて取り組む国際的学術組織である。 国連大学ゼロエミッションフォーラム(UNU/ZEF)は1999年4月にその国際シンポジウムとともに活動を開始した。国連大学内部に国際的な組織をもち、特別学術顧問である鈴木 基之教授の管理下にある。ZEFジャパンは企業、地方自治体、学界とNPOの各代表者約150名から構成されている。初代会長は日本テトラパック(株)会長の山路 敬三氏、2004年2月以降は、元(株)荏原製作所 代表取締役会長の藤村宏幸氏が就任している。事務局は同じく国連大学本部に設置されている。 国連大学ゼロエミッションフォーラム・ジャパン
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