TICAD IV
TICAD IV メディア・ウォッチ
第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に向け、世界各国のメディアではアフリカ開発が盛んに論じられています。国連大学では英語、フランス語、日本語の報道からその一部を選び、多角的な議論をご紹介しています。
2008.04.17
アフリカ v2.0
AfricanLoft, 7 April 2008:
Special Series Podcast: Investing in Africa’s Infrastructure
NewAssignment.net, 6 April 2008:
Overview of Africa 2.0 Panel
3月上旬にテキサス州オースティンで開かれたSouth by Southwest (SXSW) Interactive Conferenceのパネル討論「アフリカ2.0:技術の活用で変化を促す」で、アフリカの新しいメディアにおける技術や情報システムの役割について活発な議論が行われた。
アフリカからブログの主催者や企業家4人が参加し、技術がアフリカ開発のために果たした役割や、今後の展望についてコメントした。携帯電話とオンライン・フォーラムが騒乱時などの情報発信において果たす役割も議論の的となった。
横浜市で開かれれるTICAD IVを前に、日本のODA政策はますます注目を集めており、途上国に対する援助減少が懸念されている。日本が融資政策を見直す中、このような議論にも注意を払うべきだ。SXSW会議では、パネル討論や一般参加者から「必要なのは外国が考えた解決策を充当することではなく、技術の革新だ」との声が相次いだ。(以上NewAssignment)
情報通信技術の革新が自国で行われるならば、自国の開発を促進するツールとして有効に機能するに違いない。SXSW会議に参加したのは英語圏のアフリカ諸国に限られていたが、アフリカ開発に焦点をあてるTICADとG8が日本で開催される今、このような視点は重要で、時宜にかなっている。
アフリカに関するオンラインのディスカッション・フォーラム「アフリカン・ロフト」では、アフリカ開発やインフラ専門家との5回の対談をポッドキャストしている。いずれもVOA(ボイス・オブ・アメリカ)のウェブサイトで公開されたものだ。
2008.04.16
TICAD IV: アジェンダを明確化
TMCnet.com (Kyodo), 11 April 2008:
LEAD: Africa, donors to address climate change, monitor TICAD progress
Reuters, 13 April 2008:
Development ministers urge action on food prices
Breitbart.com (Associated Press, Kyodo) 11 April 2008:
Highlights of TICAD Yokohama Action Plan draft
共同通信及びAP通信は、TICAD IVで取り上げられる主なテーマを含む 「TICAD横浜行動計画」草案の概要を報じた。行動計画は過去の協力の成果を踏まえたものだが、今回は緊急性をより強く打ち出しているのが特徴だ。共同通信は、食糧危機について「とても重要な、現代的な問題で、無視することはできない」とのバフォ・アジェベゥワ駐日ガーナ大使の発言を伝えている。
食糧価格の高騰、気候変動は地域を超える問題として関連があり、国際社会は即座に解決策を提示しなければならない、と位置づけられている。世界銀行のロバート・ゼリック総裁がワシントンで主催した「バリ朝食会」では、インドのパラニアッパン・チダムバラム財務相が「事態は日に日に深刻さを増しており、価格高騰についてグローバルなコンセンサスを築くよう早急に行動を取らない限り、食糧価格の高騰によって引き起こされた一部国家の社会不安が地球規模に拡大し、先進国、途上国とも影響を免れない」と、訴えている。(ロイター)
食糧不足に備え、また食糧の価格高騰に歯止めをかけるため、日本は水資源管理、灌漑計画およびコメの生産増加のための技術など、継続的な技術協力を中心に議論を進める意向だ。横浜行動計画草案は経済援助を増やすための数値目標や、成果をはかるための具体的な目標の設定に加え、情報収集、進捗状況の把握、閣僚級会合の継続を行うため、三段階にわたるフォローアップのメカニズムも導入している。
また、TICADの場では1993年の開始以来初めて、気候変動も長時間にわたって議論される。行動計画の草案は、気候変動に対する包括的なアプローチを強調しており、「アフリカ諸国も含め、世界のすべての国がともに行動し、2012年以降の気候変動対策の有効な枠組みを構築するために協力しなければならない。温室効果ガスを劇的に削減するのが目標で、2050年までにガス放出量を半減させなければならない」としている。(ロイター)
2008.04.14
議論の核心:対アフリカ援助の状況
iafrica.com (AFP), 7 April 2008:
G8 to double aid to Africa by 2010
Yahoo! News (AFP), 5 April 2008:
G8 Countries weigh up aid promises
BBC, 4 April 2008:
Donor nations ‘miss aid targets’
OECDが今週発表した調査報告書によれば、先進国からの途上国向け援助は減っている、とBBCが報じている。
報告書はとくに、2010年までにサハラ以南のアフリカ諸国に対する援助を倍増すると公約したG8諸国が、目標を達成できない可能性が強い、と強調している。その原因としてイラクやナイジェリアに対する債務救済の影響をあげている。(BBC)
しかし、統計の解釈については議論が分かれるところで、OECDの報告書も「(援助の)減少は予想されていた」と認めている。実際、債務救済を考慮すれば結果は少し変わってくる。「OECD開発援助委員会(DAC)加盟EU諸国からの援助は、主として債務救済が減少に転じたため実質ベースで減少している:ベルギー(11.2%)、フランス(-15.9%)、イタリア(-3.6%)、ポルトガル(-9.4%)、スウェーデン(-2.6%)、イギリス(29.1%)。債務救済を除けば、ポルトガルとイギリス以外の国々で援助額は増加している。イギリスのODA(純額)は株式投資の売却によりわずかに減少した。(OECD)
これに対し、G8諸国は懸念を払拭するためブラジル、中国、インド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、韓国及び南アフリカのカウンターパートと協議を行っている。
東京で4月5日-6日に開かれたG8閣僚級会合では、開発問題に関わる高官たちがアフリカ向け援助拡大のための戦略を話し合った。日本の高村正彦外相は、今後の行動は7月に北海道で開かれるG8サミットの場で国際社会の注目を集める、と指摘した。また、高村外相は「日本のODAの減少傾向に歯止めをかけ、増加に転じさせる決意だ」と述べた。(AFP)
AFP通信によれば、日本の外務省筋は「イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本及びロシアのG8諸国は、公約を厳密に遵守すべきである」ことを確認した。今後、アフリカに対する援助政策をめぐる議論はより複雑になっていくと見られる。中国の援助政策と、アメリカ、EU及び日本の援助政策の間にある緊張関係は、アフリカという開発の「金脈」をめぐって浮き彫りになるだろう。
この議論の核心にあるのは、伝統的なドナー国が開発援助に付帯するコンディショナリティの問題だ。インドや中国など、新興ドナー国は天然資源や政治的支援を期待して、コンディショナリティのない援助資金の供与を持ちかけている。
東京の閣僚級会合でフランスのアラン・ジョワイヤンデ協力・フランコフォニー担当閣外大臣は「このような新しい援助は希望と困難を併せ持っている」と語った。(AFP)
運転手交代: アフリカの地域統合を先導するのはだれ?
Xinhua/ChinaDaily.com, 7 April 2008:
Africa hopes China to be a driver of regional integration
ヨハネスブルグで3月31日から4月1日まで、南アフリカ中国研究センター及び南アフリカ開発銀行(DBSA)共催で開かれた会議「アフリカの地域統合の推進役を担う中国:将来展望」で、ステレンボシュ大学中国研究所のマーティン・デイビーズ所長は「ヨーロッパの援助計画はアフリカで50年も実践されているが、うまく機能していない」と記者団に語った。(新華社)
会議では中国は経済開発によって、地域統合を進めるうえでより重要な役割を果たすことができる、との提案があった。これは「アフリカはアジアの経済成長の成功例に学ぶべきだ」としてきた日本の主張に似ている。アフリカと中国のパートナーシップは、インフラ開発とエネルギー資源探査などによる相互利益に基づくものだ。
アフリカ連合が主導する地域統合では、中国の貢献を高く評価しているが、ゾン・ジャンホア駐南アフリカ中国大使は「中国はアフリカ大陸の地域統合の運転手ではなく、あくまで支援者だ」と述べた。
2008.04.11
アフリカから来たTICADの報告者
Le Soleil, 8 April 2008:
Symposium en prélude à la TICAD IV: Les journalistes japonais se penchent sur les opportunités de l’Afrique
セネガルのインターネット配信ニュース「ル・ソレイユ」によれば、アフリカのジャーナリスト3人がTICAD取材のため日本の外務省に招待された。
アフリカを代表する3地域から選ばれたジャーナリストたちには、「TICADプロセス全般に対し、またとくに日本の協力のあり方に対し、批判的な見方を示す」ことが期待されている。(ル・ソレイユ)
選ばれたジャーナリストは、タンザニアのマジラ紙編集長、ジョセフ・クべべカ・クラングワ氏、東アフリカを担当するザンビア国営放送 編集デスク、ローズ・チャンプカさん、そして西アフリカで開発の成果を取材するセネガル情報省PR技術カウンセラー、ママドゥ・クラセ氏。
クラセ氏はル・ソレイユの元編集長で、日本とアフリカはグローバリゼーションのプロセスによって切り離すことができない未来を共有している、と強調している。(ル・ソレイユ)
「社会的資源を動因」: ジャネー、バランスの取れた開発を提案
United Nations Economic Commission for Africa, 31 March 2008:
Opening statement for the 1st Joint Annual Meetings of the AU Conference of Ministers of Economy and Finance and ECA Conference of African Ministers of Finance, Planning and Economic Development by Mr. Abdoulie Janneh
Issues Paper: Meeting Africa’s New Development Challenges in the 21st Century
3月31日から4月2日まで、アジスアベバの国連会議センターは、アフリカ連合(AU)経済・金融担当相会議、アフリカ経済委員会アフリカ金融、計画、経済開発担当相会議の第1回合同会議を主催した。
国連事務次長でアフリカ経済委員会(ECA)事務局長のアブドゥリ・ジャネー氏は会議の冒頭、各国元首を前に、いかなるアフリカの将来ヴィジョンも開発政策と戦略のバランスを考えなければならない、と述べ、「オーナーシップや一般参加の原則に基づいて優先課題を決め、共通の目標や希望のために社会資源を動因することができる有能な国家」をつくることに焦点をあてるべきだ」と語った。
最近は国際社会でアフリカ支援の機運が盛り上がり、高レベルの国際会議の場で議題として取り上げられたが、将来的にこのような傾向が続く保障はない。ジェナー氏は「50を迎え、ECAでは、アフリカは立ち止まってこれまでの開発の軌跡が正しかったかどうか顧みなければならない、と考えている。我々もグローバルな経済の中でアフリカが将来的に担う役割について検討する必要がある」。
ジャネー氏はこの会議はタイムリーで、日本で今年開かれるG8サミットを前にアジェンダを設定するため、建設的な話し合いができたと評価した。
経験を活かす:アジアの教訓に学ぶ
Department of Foreign Affairs, South Africa, 25 March 2008:
Notes following Briefing to Media by Ambassador Jerry Matjila
南アフリカ外務省審議官(アジア、中東担当)のジェリー・マティーャ大使は、最近首都プレトリアで開かれたメディア・ブリーフでTICAD IVについてコメントした。アジアは限られた天然資源で、経済・社会開発上大きな成果を上げることができた、と強調し、より多くの資源を保有するアフリカは一層、アジアの教訓に学ぶことが大切だ、と述べた。
確実に前進? アフリカ開発のための南南協力を考える
Inter Press Service, 21 March 2008:
Trade: “You Have to Be Rich To Live in This World”
Agence de Presse Africaine, 11 March 2008:
Africa-America-Asia business summit to enhance South-South partnership, says official
UNCTAD及びCBCの共催で、モーリシャスのポートルイスで開かれたアフリカ-アジア-アメリカ・ビジネス・サミット(AAABS)では、アフリカ開発について意見が対立する場面もあったが、全体として高い決意が示された。南南協力はTICAD IVの主要なテーマのひとつ。
インター・プレス・サービス(IPS)によれば、マダガスカル経済開発委員会CEOのプレガ・ラムサミー氏は、アフリカの貧困削減におけるグローバリゼーションと貿易自由化の役割について問題を提議した。
モーリシャス財務省は、南南貿易のみじめな実績を浮き彫りにする貿易統計を明らかにした。「アフリカ域内貿易は1980年における全貿易額の5%を占めていたが、現在までにわずか10%の微増を果たしたにすぎない」。(IPS)
一方、英連邦ビジネス評議会(CBC)のモハン・コール議長は、「南アフリカ、中国、インド、ブラジルの新しいダイナミズムを活かし、南南協力を拡大する」と前向きの発言を行った。
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